mutsu062007-06-13


[女のいくさ」 佐藤 得二 著

佐藤 得二さんは私の高等学校の同級だが、

今ごろ、この処女作のやうな長編小説を書き、

これが、巧緻、達練、充実、みごとな作品

なのに、びっくりした。明治初年から今日まで

の、言はば「大河小説」で、その時代と世相のなかに、

女を中心とした一家の人々の運命を確かに描いて、

生彩がある。殊にけながな女の愛と生とは、

胸を打つものがある。 川端 康成