『はぐれ念仏』 寺内 大吉著

北条三来和尚は肌身離さず数珠をもち、朝夕に

念仏を欠かさない。それが突然、袈裟を脱ぎ捨てて

宗会議員に立候補した。かつて生き仏とまで讃えられた

大老僧が、湯水のごとくゼニをまきちらし、仏戒を破り、

票をかき集めるべく大奮闘する。宗門をあげての大騒動の

果て、最後に和尚が口にしたのは・・・・。聖俗のはざまに

揺曳する人間模様を活写した第44回直木賞受賞作、待望の

初文庫化!。 解説 伊藤 圭一。